分子時計を用いた分子進化学的解析に16s rRNAが適していた理由がwikipediaに箇条書きしてあったので掲載します。
- リボソームという生物の本質に関わる機能を持ったRNAなので配列の保存性が高く、極めて関係の遠い生物同士でも配列の比較が可能である。
- 真核生物、原核生物問わずすべての種に存在し、機能変化に伴う遺伝子の変異がこれからも起きる可能性が極めて少ない。
- ゲノム内にコピーが複数個存在しても、塩基配列にほとんど差が無い。
- 遺伝子の長さが適当に長く(16S rRNAの場合、1600塩基対程度)、系統解析に十分な情報量を持つ。
- 比較的変異しやすい部位も存在し、近縁な種でも比較が可能である。
- 細胞内に大量に存在し、PCRの開発がなされる以前から塩基配列の比較が可能であった。
- 全生物にわたって完全に保存された部位が三箇所ほど存在し、そうしたプライマー(ユニバーサルプライマー)を設計することにより塩基配列の決定が容易である。
7項目とも納得できるものばかりです。実験の品質を保つ意味で、調査方法が規格化されているの良いことです。
Woeseの提唱した3ドメイン仮説は遺伝子変化速度は一定という前提があり、種々の問題があります。
【参考文献】
Wikipedia - Phylogenetics tree
http://en.wikipedia.org/wiki/Phylogenetic_tree
井出利憲「分子生物学講義中継 生物の多様性と進化の驚異」羊土社 2010 86 - 96pp
生物学
Wikipedia - 16s rRNA系統解析