Karl PearsonにはじまりWilliam Gosset, Ronald Fisherによって完成した今日の近代統計学理論の方法論としての特色は、「部分」が'正しく'選ばれていれば、それから「全体」を知ることが、論理上可能であるとうことです。「部分」と「全体」のギャップを埋めているのが、「確率」という論理装置です。以下には、近代統計学理論が成立するに至る2世紀の歩みを記述しました。
1. William Petty, 1627 - 1687
社会経済現象の数量的観察。「政治算術」Political Arithmetick, 1960を執筆
2. Gottfried Achenwall, 1719 - 1772
国勢学派。統計調査(今日の官庁統計)"Statistik"の語を使用。Stae(国家)を記述する学問の意。
3. Simon Laplace, 1749 - 1827
古典確率論の大成と近代確率論の基礎。
4. Carl Friedrich Gauss, 1777 - 1855
誤差理論と正規分布。最小二乗法
5. Adolphe Quetelet, 1796 -1874
大量観察と統計的法則性。「平均人」、「平均」の概念
6. Francis Galton, 1822 -1911
遺伝学の数理的基礎。「回帰」の導入
7. Karl Pearson, 1851 - 1936
近代統計学の数理的基礎。「母集団(population)」の萌芽。「相関係数」、χ^2統計量の導入
8. William Gosset, 1876 - 1937
t分布の導入。小(精密)標本理論。
9. Ronald Fisher, 1890 - 1962
統計学的推測理論の確立。標本分布論。実験計画法。F分布
10. Abraham Wald, 1902 - 1950
統計学的決定論。検定理論と推定理論の数学的統一と精密化
【参考文献】
東京大学教養部統計学教室(1991) 『統計学入門』 東京大学出版 4pp.