誤差の分類

私たちは、真の有病率や疾患のリスク因子といったものを知ることはできません。そこで、研究の対象集団である標的集団 target populationから観察集団 study populationを無作為に抽出して観察や介入を行います。
その過程で種々の誤差が生じることが知られています。今回はその誤差について系統的にまとめを行いました。

誤差にはまず大きく分けて偶然誤差と系統誤差biasがあります。偶然誤差はサンプリングにおける全くの偶然により生じるものです。これは統計学的推定や検定などの推測統計学による確率論的なアプローチで、誤差の大きさが可能です。一方、系統誤差は一定の方向性をもった誤差です。系統後さはさらに選択biasと誤分類を含む狭義の偏りと交絡に分けられます。狭義の偏りに関しては、研究計画段階でしっかりと制御しておくことが必須であり、解析段階では制御不能であることに注意が必要です。一方、交絡に関しては、解析段階でも制御可能です(もちろん、交絡に関係する変数に関する情報を入手しておくことが前提です)。


中村良一「基礎から学ぶ 楽しい疫学」医学書院 2002 88pp